仕事も食も、さまざまな経験があったからこそわかった “自分らしい暮らし方” – フードプランナー・谷尻直子さん<前編>

第五回目のゲストは、フードプランナーの谷尻直子さん。フードプランナーとして活躍する傍ら、週末だけの完全予約制レストラン「HITOTEMA」を主宰。さらに一児の母でもある谷尻さんが放つ、健やかで多幸感溢れるオーラの秘密を伺います。

運命的な出会いを経て、ファッション業界から食の世界へ進む扉が開きました

ー 谷尻さんは、現在はフードプランナーとしてご活躍されていますが、以前はファッション業界でお仕事をされていたそうですね。

谷尻さん:

20代の頃はファッションスタイリストとして活動していました。21歳でアシスタントにつき、24歳で独立。28歳頃までフリーランスでスタイリストのお仕事をしていたんです。そしてその頃出会ったファッションデザイナーと一緒にブランドを立ち上げ、同時進行でブランドの運営もしていました。

ー どんなきっかけで、ファッション業界から食業界へ転身されたのですか?

谷尻さん:

30歳を過ぎた頃から、次々と新しいものを生み出して提案していくというスタイルに気持ちがついていけなくなり、興味を失いつつあったんです。そんな時、ある雑誌の記事でフードアーティストの諏訪綾子さんのコメントを読む機会があり、たった一つのコメントを読んだだけで心を射抜かれました。この方とお仕事をご一緒したい!と直接連絡をし、PRやプランニングのお手伝いをすることになりました。

ー まさに運命的な出会いだったのですね。いつ頃から食に興味を持たれたのですか?

谷尻さん:

もともと、ヨガをきっかけにベジタリアンの食生活をしていたこともあり、食に対しては関心がある方でしたが、このお仕事がきっかけで、食への関心がどんどん膨らんでいきましたね。そこからいろいろな方との出会いで自然と食に関するお仕事が広がっていき、出産をきっかけにお店をオープンして今年で3年経ちました。

ファッション業界でのお仕事やベジタリアンの経験があったからこそわかった、今の自分らしい暮らし方

ー 今はお魚やお肉も使ったレシピを提案されていますが、お肉やお魚を食べるようになったきっかけはありますか?

谷尻さん:

6年間ベジタリアンの生活を続けましたが、都会で感じるストレスでできた心の凹みが埋まらないことに気がついたんです。それを埋めてくれるのが、私にとってはお肉だったんですね。人と関わりながら都会で生きると決めた私には、肉があった方が、自分が描く暮らし方にマッチすることがわかり、お魚もお肉も少しずつ食べるようになりました。

ー 自身の食生活について向き合う良いきっかけだったのですね。ベジタリアンの経験が今に活かされていることはありますか?

谷尻さん:

ベジタリアンを経験したことで五感が敏感になったと思います。また野菜だけで満足するために、塩をブレンドしたり、調味料はしっかり発酵して旨味が出るものを使ったりと、調理法も自分なりに工夫をしていたことは、今に生かされていますね。

ー 食材選びなどに、こだわりはありますか?

谷尻さん:

よくすべてオーガニックですかと聞かれますが、野菜は普通にスーパーで売っているものでもいいと思っています。野菜自身が、「私、美味しいよ」と言っているような、みずみずしくて旬のものを選ぶようにしています。どんな野菜でも、切り方や調理法次第で、美味しく仕上がるんですよ。

レストラン「HITOTEMA」をオープンして3年。きっかけは、主人の何気ないひと言でした

ー 谷尻さんがお店をオープンしようと思ったきっかけを教えてください。

谷尻さん:

妊娠を機に外出が減ったのですが人に会いたくて、週1回くらいのペースで自宅へ人を招くように。それを見た主人が、「こんなに人を招くのが好きで料理も好きで、それでみんな笑顔になるなら、お店をしたらもっと喜んでもらえるんじゃない?」と言われ、じゃあやってみようか!と、週末だけの完全予約制のレストラン「HITOTEMA」をオープンしました。

ー ご主人のひと言がきっかけだったのですね。不安ではなかったですか?

谷尻さん:

子育てを機に一旦社会と離れる選択肢もありますが、私にとってはどんな形でも社会と関わる生活の方が必要だと思い、大変だろうと思いつつとにかくやっちゃおうと。最初の一年は本当に大変で、主人とも喧嘩ばかりでしたね(笑)。

ー それを経て3年目を迎えて、今はいかがですか?

谷尻さん:

息子が3ヶ月の時にオープンしたので、はじめは抱っこしながらこなしていました。3年目でやっとバランスや歩き方がわかってきた気がします。営業しない日も、酵素シロップや生姜ドリンクなどを作ったり、塩麹を作っておいたり、何かと作業があり今はいっぱいいっぱいですが、でも楽しく仕事ができていると思います。

自分が持っているいくつものも役を、駆け出しの役者のように演じるのを楽しんでいるんです

ー 妻として、母として、フードプランナーとして多忙な毎日だと思いますが、日々どんなことに心がけていますか?

谷尻さん:

駆け出しの役者のつもりで、母ちゃん役、妻役、主人の親友役、妹役ができたらいいなと思っています。仕事の日は、できるだけ子供や家庭のことは頭の隅に置いて、お客様優先で「仕事人の役」を演じきると決めています。

ー いろいろな役を演じて楽しむのは、とても素敵な考え方ですね。

谷尻さん:

家庭ではつい母ちゃん役が勝ってしまって、妹役がなかなか難しいんですけど(笑)。いろいろな役を楽しみながら演じることで、日々バランスが取れていると思います。気持ちも切り替えになるし、ストレスも溜まりづらくなりました。でも、一番は主人の人柄にとても助けられていますね。もともと勝気な私の性質を穏やかに見守ってくれています。

谷尻直子さん

谷尻直子さん
(たにじり・なおこ)
フードプランナー、料理家。週末だけの完全予約制レストラン「HITOTEMA」主宰。雑誌やWEBメディアなどでレシピの提案をはじめ、独自のセンスが光るライフスタイルも注目され、幅広い分野で活躍中。また「日々の学びやシェアしたい事柄」を毎日インスタグラムで発信している。
https://www.instagram.com/naokotanijiri_hasegawa/?hl=ja
https://ja-jp.facebook.com/hitotemashibuya/

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