やらずに後悔したくないから、毎日を精一杯生きています・小山田早織さん<前編>

第35回目は、ファッションスタイリストの小山田早織さんにご登場いただきました。わかりやすいコーディネートテクニックとストイックなアドバイスが人気で、テレビや雑誌をはじめ多方面で大活躍の小山田さん。プライベートでは昨年長男を出産し、現在は仕事に育児に忙しい毎日にも関わらず、変わらない美しさと素敵な笑顔をつくる日々の暮らしとは?また美しくパワフルな小山田さんの仕事への想いや新著についてもお話を伺いました。

“リアル”を追求したコーディネートを提案したい

ー 小山田さんが、ファッションスタイリストを志したきっかけを教えていただけますか?

小山田さん:

大学時代にデニムのOEM企業でアルバイトをしていて、カタログ制作でスタイリングを任せていただく機会があったんです。予算をもらって、デニム以外の洋服や小物などを選んでコーディネートを組んだのですが、想像以上に楽しくて、社内でも評価していただけて。それがきっかけで興味を持つようになり、在学中からアシスタントを始め、その後独立、現在に至ります。

ー お仕事をする上で大切にしていることはありますか?

小山田さん:

プロのスタイリストとして、1体のコーディネートによりたくさんの情報を盛り込むようにしています。また高価なものと手頃なプライスのものを合わせたり、誰が着ても素敵に見えるバランスを考えたりと、全体を通して、“リアル”を追求することを大切にしています。コーディネートには正解がないので、街を歩いているおしゃれな人がコーディネートしても成立してしまう世界。プロのスタイリストと“街にいるおしゃれな人”とでは何が違うのかということを突き詰めて考えています。

ー テレビや雑誌で大人気の小山田さんですが、辛く感じることや迷うこともありましたか?

小山田さん:

今では得意分野と言ってもらえる 1カ月コーディネート提案も、最初は本当に苦戦して、コーディネートを組むのに2日間寝られなかったり、理想と現実のギャップに悩んだりと、アシスタント時代より独立してからの方が自分の力不足を感じることが多かったですね。方向性に迷う時期もありましたが、自分の仕事に対して、読者やフォロワーさんから嬉しい言葉をかけていただいたり、ブランドからコーディネートに使用したアイテムにすごく反響があると言ってもらえたりと、返ってくるものがあったので、「これで間違っていないんだな」と思えることがモチベーションに繋がりました。

ー ご自身のファッションで、意識していらっしゃることはありますか?

小山田さん:

基本裏方の立場なので、撮影の時に写り込まないように現場では黒い洋服を着ることが多いです。自然と私服は黒色やシンプルなものが多いのですが、どこかにきちんと感やきれいな要素を入れるように意識しています。若い頃は、ダメージデニムにロックT、スニーカーなどのコーディネートもしていたのですが、だんだんとスカートやヒール、今日のような柔らかなデザインのあるニットなど、女性しか着られないアイテムを取り入れるようになりました。女性の洋服って、デザインや素材、色などさまざまでとてもおもしろいですよね。

仕事と育児の両立で、ライフスタイルはがらりと変わりました

ー 仕事に対してストイックなイメージの小山田さんですが、昨年の出産後、仕事のやり方や生活はどのように変化しましたか?

小山田さん:

ライフスタイルはがらりと変わりましたね。出産前は、週2〜3回ジムやマッサージに行ったり、エステに行ったりと、ストイックに自分のために時間を使っていました。また自宅でもキャンドルを焚いてお風呂には入ったり、フェイスパックをしたりと、楽しんでいました。産後はとにかく息子から目が離せないし、仕事をしている分、それ以外の時間はできるだけ一緒にいたいので、自分の時間は格段に減りました。

ー 仕事と育児の両立は、どのようにしていますか?

小山田さん:

最初は両立できるか不安だったのですが、もともと忙しく動いているのが好きなタイプなのと、家族の協力もあり、なんとか楽しくこなせているように思います。でも仕事へ出かける時は息子と離れるのが寂しくて仕方ないのですが、それでもわざわざ離れるからこそ、現場では仕事に集中します。遅くても17時には帰宅するようにしているので、限られた時間で以前より密度の濃い仕事ができているようにも思います。昼間に集中して頑張ったら、自宅では携帯も遠くに置いて、子ども優先に。意外にも、仕事と育児の両立は自分に合っているみたいです。

ー 今はなかなか自分の時間が持てないなか、スタイルや美肌もキープされているのに驚きます。スキンケアやファッションに対して意識の変化はありますか?

小山田さん:

以前はジムやエステに通って、ストイックに美と健康と向き合っていたけれど、出産してからはいい意味でナチュラルに生きられている気がします。体型も以前よりスリムに、エステなどスペシャルケアに頼っていたスキンケアも、日々の積み重ねが大切だなと感じるように。シンプルで落ち着いた色味が多かったファッションも、明るい色柄ものや少しデザインがある洋服を楽しみたい気分になりました。

『もう通勤服に悩まない』(講談社)

「オフィスカジュアルって何?」を解消。女性の通勤服を見直す一冊に

ー 9月に著書も出版されましたが、今回はどのような内容になっていますか?

小山田さん:

もともとやらせていただいていた“企業に勤める一般女性”をモデルにした連載をベースにまとめたものです。広い目線で通勤服について見直して、女性の「オフィスカジュアル」って何?ということに切り込んだ内容になっています。実際に企業で働く女性のリアルな声を盛り込んで、幅広いたくさんの女性のヒントになれば、という想いでつくりました。

ー 子育て真っ最中でしたが、制作でとくに大変だったことはありますか?

小山田さん:

今回はできるだけ自分の言葉で伝えてみたいと思い、初めてライティングにも挑戦しました。乳飲み子をかかえて、コーディネートもライティングも一生懸命考えて書いた本です(笑)。正直かなりハードでしたが、一人ひとりに語りかけるように書けたかなと思っています。慣れないことだったので大変でしたが、終わった今考えるととても楽しめました。

やらずに後悔するより、やって後悔する方がいい

ー 小山田さんの考え方、生き方のベースになっている言葉・もの・コトを教えてください。

小山田さん:

明日何があるかわからないから、毎日を精一杯に生きること。未来の自分が、あの時ああしておけばよかったなと思わなくてすむようにしたいんです。20代の頃日焼け止めをきちんと塗っておいてよかったとか、産後のケアをきちんとしておいてよかったとか。何でもやらずに後悔するより、やって後悔した方がいいですよね。今回の出版も、まだ子どもが小さかったからできなかったと言いたくなくて、迷いましたががんばってよかったと思っています。あとは、いつも初心を忘れないこと。アシスタントだった時のこととかをいつも忘れないよう心がけています。

ー 今後の展望やチャレンジしてみたいことがあれば教えてください。

小山田さん:

次に本を出す機会があったら、もっとプライベートな内容で、リラックス感のあるライフスタイル本を作ってみたいなと思っています。仕事仲間からは「武士みたい」と言われるほどがんばってしまう性格のせいか、つい余計な力が入ってしまうので、もっと力を抜いて自然体の自分を表現してみたいですね。

photos by Yoshimi Kikuchi

小山田早織さん

小山田早織さん
(おやまだ・さおり)
ファッションスタイリスト。女性ファッション誌やテレビで提案する、わかりやすくリアルなスタイリングテクニックは一般女性から圧倒的な支持を得ている。またショーや広告、イベント出演など多方面で活躍し、女優やモデルからの指名も多い。著書に『身の丈に合った服で美人になる』(講談社)『もう通勤服に迷わない』(講談社)がある。Instagram:@saorioyamadaでアップする私服やライフスタイルも注目を集め、ファン多数。

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